最後に

70歳代の男性は妻と2人暮らし。本人は、ついこの間まで働いていましたが、膵臓癌を患ってからは仕事を休むようになりました。癌はターミナルの状態です。

本人は、若い頃に技術を身につけ、時代の発展と共に活躍していきました。そのお陰で会社の業績は好調で、今では次の世代を監督する仕事を任されていました。

仕事場は、比較的近い場所にあったので、毎日、車で通勤していました。

本人には息子が2人いて、それぞれ家庭を持っていて、それぞれ子どもたちがたくさんいました。時々、本人の家に遊びにきていました。本人は孫からも好かれ、仕事も家庭も順調でした。そんな矢先に癌の宣告。何で自分が癌に侵されてしまったのだろう?本人はそう思いましたが、病気が進行し、自分の人生の終わりを自覚していました。

腹部の痛みと嘔吐を訴え、病院に入院し、症状緩和コントロールをおこなった後で退院することになりました。

本人はこれが最後と思い、退院時に、車で迎えにきた息子に「自分の職場に連れていってほしい」とお願いしました。快く息子は引き受け、本人を職場へと向かいました。

職場に到着すると、仕事でお世話になったデスク、仕事場など、感謝の気持ちを込めて整えました。職場の滞在時間は短かったのですが、本人にはそれで十分でした。

本人は、自宅に到着すると疲れて、すぐにベッドに横になりました。

しばらくしてから訪問診療で対応する医師と看護師が到着し、今後の本人の診察、ケアにあたっていきました。